キューバの植物療法

キューバは自然療法に重きを置いている国です。

薬局では、通常私たちが買っている錠剤の風邪薬や頭痛薬などは売られていません。

その代わりに伝統医学に基づいた植物・ハーブ・根・木などにより作られた薬のみが販売されています。

 

この背景には、政治的理由があります。

ソビエト連邦が崩壊した時、食料をはじめとした消費物資のほとんどを輸入に頼っていたキューバは経済危機に陥りました。

この時キューバからは多くの物がなくなり、その中には医薬品や処方薬も含まれていました。

現代医学の薬が手に入らなくなったことに伴い、医師たちも自然療法へと移行せざるを得なくなりました。

医師が伝統医療や自然療法に重点を置くようになった変化に伴い国民も変化をし、教育も変化していきました。

キューバの小学校では薬用植物について学ぶ授業があり、学校には子供たちが薬用植物を植えたり栽培することができる温室もあるそうです。

正確な知識を持つことが自分たちの健康に繋がるこの国では、さまざまな薬用植物の名前・見かけ・効能などを調べることができるスマートフォンのアプリも普及しています。

 

郊外には自分たちで薬用植物を育て、日常的な病気に対応している人たちもいますが、都会など自分たちで育てることが困難な人たちは市場で購入します。

地元で採れた野菜や果物や肉を売る市場では薬用植物を売るお店も並び、キューバの人たちはここで自分で育てることができない薬用植物の買いだめをして万が一に備えます。

けれども市場で買う薬用植物だけに頼るには費用が高くつきすぎる為、具合が悪くなったら地域の診療所や総合病院に行く場合もありますが、どの病院でもまずはじめには伝統医療を用いた治療が行われます。

 

またパンデミックに対して、キューバでは免疫系を強化するためにPrevengHo-Virというホメオパシー薬を使うことを国が推奨しました。

さらに、医師たちは抗ウィルスの特性を持つ免疫系を促進させるターメリックなどの薬用植物を処方しているそうです。

 

キューバはフラワーエッセンス療法を公式の医療プログラムに取り入れたはじめての国です。

フラワーエッセンス療法は1999年よりキューバの国民健康プログラムの一部となりました。

 

2006年にフラワーエッセンス療法を使った、ある研究が発表されました。

この研究は、強いストレスに晒されている人たちがフラワーエッセンス療法を取り入れることで、ストレスが原因となって起こっている不調がどのように改善するかという調査を目的として行われました。

ここでは強いストレスを抱えている50人のキューバ軍の人たちが被験者となりました。

 

被験者を2つのグループに分け、グループA25人にはフラワーエッセンスを与え、グループB25人には薬を投与しました。

この研究は60日間行われ、その間被験者の症状は、[正常][軽度][中等度][重度]4つのカテゴリーに分けられました。

研究開始時、グループAには[重度]の被験者が18人・[中等度]の被験者が7人いました。

グループBには[重度]の被験者が14人・[中等度]の被験者が11人でした。

60日が経過した時、グループA[正常]の被験者が20人・[軽度]の被験者が5人となったのに対して、グループBは、[正常]の被験者が10人・[軽度]の被験者が10人・[中等度]の被験者が5人という結果になりました。

 

この研究によりストレスが原因となり引き起こされる主な症状は、不眠症・記憶力の低下・強迫的な行動・うつ病・緊張・性機能障害・不安・神経過敏ということが分かりました。

この研究では、FESのフラワーエッセンスが使われ、主に使われたフラワーエッセンスは12種類ありましたが、そのうちのいくつかを紹介します。

 

セントジョンズワート

闇のパワーを恐れ、些細なことに傷ついたり眠れなくなってしまう人に。光のパワーを借りて、恐怖心を払うことができるようになるエッセンスです。

 

フィラリー

ちょっとしたことに神経質になり、時間を無駄にしている時に。漏れ出しているエネルギーを修復し、心を解放させる手助けをしてくれます。

 

イエルバサンタ

感情の毒素を浄化し、排出することを助けてくれます。非常に深い悲しみが心の奥深くに入り込んでいる場合、呼吸器系疾患として現れることがあります。このエッセンスは胸の奥にしまい込まれた深い嘆きや悲しみを排出することを助けてくれます。

 

チャパレル

暴力的なイメージの影響や感情の残骸、体に蓄積された薬物など、魂がため込んだ汚れをパワフルに浄化してくれるエッセンスです。

 

キューバは政治的理由により現代医学から伝統医学へと移行することを余儀なくされました。

何か大きなものを根本から変えるには教育の段階から変える必要があり、本来であれば親から子へと受け継がれる自然療法の知識が、教育のひとつとして体系化され小学校の授業に組み込まれるほどまでになりました。

 

思い返せば子供の頃、体に不調を感じるときは祖母が手作りの梅肉エキスやハチミツ大根や庭にあるどくだみの葉やよもぎやアロエなどを使って手当てをしてくれていました。

あの頃は何かあれば家にあるもので手当てをすることが当然だと思っていました。

けれども成長と共に祖母と頻繁に会わなくなてからは、体調を崩した時は薬局で手軽に買える薬ばかりを使うようになりました。

その方が面倒な手間も省ける上に効果的で、即効性があると思っていたからです。

 

今の世の中は情報で溢れています。

そのため、祖母が私にしてくれていた植物や食べ物を使った手当ての方法は調べれば得ることができる知識なのでしょう。

けれどもあの頃感じていた「自然に助けられながら生きている」という感覚は本やネットからは得ることができません。

 

植物療法の根本は、実は日本にあるとフランスで学びました。

「米一粒にも神様が宿る」と言い、手を合わせる習慣。山や海に八百万の神様が宿ると畏敬の念を持つこと。

こうした文化、風習は人が生きるうえで最も大切なことを潜在的に理解しているからこそできたもので、それこそが植物療法の信念なのです。*①

 

便利な世界で暮らしていると「最も大切なこと」を忘れてしまう時があります。

「大切なこと」を意識する時間もなく、このまま忙しく年を重ねていくといつか後悔する日が来るのではないかと最近感じました。

大きく生活を変えることは簡単ではありませんが、まずは祖母が教えてくれていた「自然に助けられながら生きていく」方法から辿ってみようと思います。

 


参考:

http://www.positivehealth.com/article/flower-essences/flower-essences-and-electrosensitivity-breaking-out-of-an-emotional-prison

https://thegroundtruthproject.org/alternative-medicine-blooms-in-cuba/

http://www.flowersociety.org/cuba-military-study.html

引用:

*① 2016年 株式会社ワニブックス 森田敦子

「植物や食べものの手当てでからだとこころの不調をととのえる自然ぐすり」 5ページ

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