本と言葉と重さ

立ち直るきっかけをくれるのはいつも「重さ」をもった誰かの言葉です。*1

よく「一冊書くのにどれくらいかかりますか?」と質問されますが、一冊の本を書くためには、人生でこれまで経験してきたすべてが必要なのです。

だから今なら「五十一年」としか答えようがない。

それだけ、本の言葉には「重さ」があるのです。

だからもし、人生のどこかで転んだり、どん底に落ちたり、どうしていいかわからなくなってしまうようなことがあって、誰にも相談できず一人苦しんでいるなら、本屋にいくといい。

立ち直るきっかけをくれる「重さ」をもった言葉が詰まった本がそこにはたくさんあって、あなたに読まれるのを待っています。*2

 

たとえば私たちは、だれかにかけてもらったほんの小さなひと言で心が軽くなったり、頑なに閉ざしていた心を開いたりすることがあります。

人生では、すべての希望が口を閉ざしてしまったように感じる時があります。

だけどそんな時だからこそ交わす言葉、出会う言葉、与えられる言葉があるのも事実です。

 

『読書セラピー』という言葉を知ったのはつい最近のことです。

読書療法やビブリオセラピーとも呼ばれ、「書物による病気の治療法」として精神疾患の患者に本を処方することが、イギリスでは代替医療として政府により認定されています。

 

イギリスでは従来の医療への代替策として読書セラピーが活用されてきました。

ウエストヨークシャー州カークリーズの家庭医は、うつ病の発作やストレス、不安に悩む患者を地元の図書館の読者セラピストに照会します。

すると読者セラピストである司書は患者と面接して現状や読書歴を聞いたうえで図書館のデータベースを検索して、それぞれの患者の病気を緩和させるための、いわばオーダーメイドの本のリストをその患者のために作成します。

かかりつけ医から薬も処方されますが、併せて本も処方されるのです。*3

また、“Reading Well”と呼ばれる取り組みで、2013年から導入されたプログラムでは、中・軽度のうつ病、パニック障害、過食症などの精神疾患に苦しむ患者を対象とし、患者の症状に合わせて、30冊の指定図書の中から適切な本を医師が処方します。

患者は薬局ではなく、図書館へ行って処方された本を借りるのです。

このプログラムは、図書館の取り組みとして国内外の図書館から高い注目を浴び、イギリス全土のほぼすべての図書館に導入されました。*4

 

イスラエルでは読書療法家が国家資格になっていて、精神科医や他の専門家がどうしていいかわからないときの、いわば最終兵器として読書セラピストが頼りにされているそうです。*5

 

物語の中で描かれているさまざまな人たちの生き方に、自分の人生のかけらを見つけることがあります。

たとえ置かれている状況や時代や国が違っても、描かれている彼らの心情に「あのとき」の自分を重ねて見ることがあるのです。

人は、物語の登場人物に感情移入して涙を流すとき、本当は自分のために泣いているのだそうです。

心が動かされるもの、気持ちが揺さぶられるものに「あのとき」の悲しみを垣間見たり、「あのとき」気づけなかった愛情を見つけたり、「あのとき」のやるせなさはこんなふうに言葉にして表現できるのかと、やっとわかることがあります。

たとえば悲しみとか喪失とか涙とか、そういうものを積極的に自分の人生に招き入れたいと思う人はあまりいないでしょう。

だけどそれらを乗り越えた先には必ず「変容」が待っていて、私たちは、もっと強く、もっと賢くなってこの世界を見つめることができます。

 

どんな状況も、私たちには、良い悪いとすぐにジャッジすることなんかできないのかもしれない。

物事はいつも、ただ起きる。

そして私たちは、起きていることが自分にとって「いいこと」になっていくようにと、願い、信じ、行動するだけだ。*6

 

自分にとって本当に必要で大切なものを引き寄せたい時におすすめなのは、ナウパカフラワーエッセンスです。

きっと、今のあなたに必要な「重さ」を持つ言葉を届けてくれるでしょう。

 


引用:

*1 2022年 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 喜多川泰 『株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者』ページ354/357

*2 2022年 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 喜多川泰 『株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者』ページ355/357

*3 2021年 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 寺田真理子 『心と体がラクになる読書セラピー』 ページ56/190

*4 2021年 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 寺田真理子 『心と体がラクになる読書セラピー』ページ56/190~57/190

*5 2021年 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 寺田真理子 『心と体がラクになる読書セラピー』ページ61/190

*6 2022年 株式会社ポプラ社 青山美智子 『月の立つ林で』 ページ220/2