スターオブベツレヘム

シャンドゥルールでフラワーエッセンスの勉強を始めたころ、自分の手元にもバッチフラワーレメディを揃えておきたいと思い購入することにしました。

レスキューレメディを含めると39種類ある中から、いつも必ず手が伸びるボトルがいくつかありました。

そのうちのひとつがスターオブベツレヘムでした。

これは過去に起きた辛い出来事により心に負った傷が癒されないまま、いまだに苦しんでいる時に摂ると良いレメディです。

この時は、ある特定の出来事に対してこのレメディを摂っていたのですが、スターオブベツレヘムを摂るようになってから自分でもすっかり忘れてしまっていたある出来事を思い出すようになりました。

 

小学校2年生の頃、近所にある英会話教室に通っていた時期がありました。

先生はイギリスに長いこと住んでいた経験があり、服装や口元に生やしていた髭など、子供の目から見てもどこか垢抜けている人でした。

教室では私と同じ年頃の子供たち56人が一緒にレッスンを受け、レッスン後はお菓子をもらえるのでここに通うのが毎回楽しみでした。

 

この教室は、家から歩いて15分くらいの所にありました。

家から車が通れるくらいの大きさの坂を下ると大通りに出て、ガードレールが付いている歩道を歩けば教室に着きます。

このルートで行くほかにも、人が一人くらいしか通れない小道があって、その道を通って行くと近道になるのですが、薄暗くて人けがなく、子供がひとりで通るには危ないため必ず大通りを通るようにと母から言われていました。

 

ある日、教室からいつものように大通りの歩道を歩いて家に帰っていると、歩道の真ん中に男の人が立っていました。

大のおとなが、なぜ歩道のど真ん中に仁王立ちしているのだろう。

その人が放っている明らかに何かがおかしいという違和感に、私は一瞬立ち止まってしまいました。

 

あの人、なんであんな所に立っているんだろう

 

そう思いながらも、家に帰るにはその人の横を通らなければいけません。

 

一度、教室に戻ってみようかな

でもここで急に引き返したら、あの人に変に思われて失礼にならないかな

車もいっぱい通ってるから大丈夫かな

どうしよう できれば横を通りたくないな

 

どうすればいいのか迷っていると、自然に歩くスピードもゆっくりになっていましたが、結局その人の横を通ることにしました。

大通りで、必ずだれかの目があるから大丈夫だろうという考えがどこかにあったのだと思います。

 

私はその人のことを見ないようにしようと気をつけていたのに、怖さのあまり、ちらっと一瞬見てしまいました。

その人は真っ直ぐ私のことを見ていました。

 

怖い。

 

体がぶつからないように気をつけながら、その人の横を通り抜けました。

そして通り抜けたと同時に、私は全力で走り出しました。

 

怖くて。

早くその人から遠いところに逃げたくて。

 

全力で走りながらあまりの怖さに振り返って見ると、その男の人がすごい形相で走って追いかけてきていました。

体中が氷水を頭からかぶったように冷たくなりました。

 

そこからはもう後ろを振り返らず、前だけを見てただ走り続けました。

そして気づいたら母から通ってはダメと言われていた人けのない小道を走っていました。

 

この道の方が早く家に着くから。

家に着けば安全だから。

 

足がもつれそうでした。

小道に立ち並んでいる木々の葉がざざざーっと音をたてながら風に揺れていて、私は心の中で「お母さん!お母さん!」と叫んでいました。

 

無我夢中で走っていると、気がついたら家に着いていました。

後ろを一度も見ずに玄関から家の中に入り、2階にいる母の所に転がるように走っていきました。

「どうしたの!?」という母の声と同時に、膨らみすぎた風船のように恐怖がパチンと弾けて、私はわーっと泣き出しました。

 

いったい何が起こっていたのか

あの人はどこで追いかけるのをやめたのか

はたして私は本当に追いかけられていたのか

 

大人が本気で走れば子供がかなうはずはないし、私は自分の視点からしかこの出来事を見ていないので実際のところはどうだったのか定かではありません。

 

結局のところ、何か起こったのかと聞かれると、何も起こっていないというのが答えです。

ただ私が怖いと感じた。

それだけが起こったことだったのかもしれません。

 

けれどもスターオブベツレヘムのエッセンスを飲み始めてから、もうすっかり気にも留めていなかったあの時の記憶を鮮明に思い出すようになりました。

 

スターオブベツレヘムは人が心の中に持っている「記憶の箱」のふたを開け、すでに向き合う準備ができている過去の記憶を取り出し癒すことを助けてくれるエッセンスです。

 

「何も起こっていなかったのだから」と、記憶の隅に追いやってしまっていた身がすくむようなあの時の恐怖感は私の心に濃ゆく染みついていて、やはりきちんと癒してあげるべき「心の傷」だったのだと思います。

 

本来ならばあの時すぐにでも飲むべきであったロックローズレスキューレメディを飲みました。

ロックローズは強いパニックのような恐怖を和らげ、レスキューレメディは緊急時に飲むと良いエッセンスです。

 

人は子供の頃から本当にさまざまなことを経験します。

良いことももちろん沢山経験しますが、思いがけずに辛い出来事に遭遇することも多々あります。

私は子供たちこそフラワーエッセンスが必要だと思っています。

生きていくうえで時として避けることができない辛いことや悲しいことがたとえ自分の身に降りかかってきたとしても、フラワーエッセンスがあれば、それらは「耐え忍ぶもの」、「ただ過ぎ去るのを待つもの」ではなくなるからです。

心に受けた傷や悲しみは適切な手当てを受けなければ「記憶の箱」の中に閉じ込められ、足かせとなってその人が本来持っている輝きを曇らせてしまいます。

 

たくさんの子供たちが安心してまっすぐに育っていけますように。

たくさんの子供たちの心にフラワーエッセンスが届きますように。

それが私の願いです。

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