フッカーズオニオン

私が小学校3年生頃のことだったと思います。

母がある日突然、テレビ禁止令を出しました。

私と弟がテレビばかり観て勉強を疎かにし、何度怒られてもちっとも心を改めなかったことが原因だったようです。

インターネットなどは当然なく、ゲームはテレビに接続しなければできない時代のことです。

私も弟も突然取り上げられた娯楽を取り戻すべく、泣いたり怒ったりして抗議をしました。

けれども母の意志は固く、我が家のテレビは物置の中へひっそりと姿を隠してしまいました。

 

放課後、夕暮れの時刻まで外で友達と遊び、自宅に戻ると家の中が妙な静けさに包まれていました。

最初の頃は、「今日はあの番組があったのに」「あのアニメの続きはどうなったんだろう」と考えたり、新聞のテレビ番組表を見ては「今日はこの番組があるのに観れない」と弟と憤慨していました。

けれどもきっと母もこの生活に物足りなさを感じて、すぐにテレビを元に戻すだろうと考えていた私は、しばらくの我慢だとも思っていました。

ところが私の期待に反して、母は本や雑誌を読んだり、編み物や籐のカゴを作ったり、ケーキを焼いたりなどして、時が経てば経つほど日々の生活を充実させていきました。

 

この持て余している時間をどうにかしなければいけない

 

簡単にテレビが戻って来ないことを悟った私はそう考えました。

私は本棚の前に立つと、そこにある本をしばらく眺めました。

本棚には私や弟が生まれてから両親が買い揃えてくれた本もたくさんありましたが、その他にも母が子供の頃に読んでいた児童書もたくさん置かれていました。

 

母が子供の頃の本は古く、黄ばんでいて、古い紙特有の独特な匂いがしました。

古いというだけで敬遠し、それまで一度も手に取って読んだことがなかった本たちです。

けれども暇を持て余している私は、古いからイヤなどと言える立場ではもうありませんでした。

 

まずは一番取りやすい場所にあった『古事記』と書かれた本を手に取りました。

これまでに読んできた本と比べると分厚く、小さな文字がびっしりと並んでいました。

これは本当に児童書なのだろうかと思い、パラパラと他のページを見ていくと、裏表紙のところに子供の字で書かれた母の名前がありました。

本が大好きだった母のために、祖父が仕事帰りによく本を買ってきてくれていたというはなしを思い出しました。

 

はじめはこの暇な時間が少しでもどうにかなればいいという軽い気持ちでした。

 

けれども、『古事記』を読み進めていくうちに「神様なのに、人間みたいに怒ったり、悲しんだり、喜んだりするの?」と不思議に思ったり、黄泉の国や桃を投げつける話にハラハラしたりと時間を忘れるほど没頭していました。

 

それから夢中になって毎日本を読み続ける日々が始まりました。

何十冊にもわたる母の子供の頃の本をすべて読み終わる頃には、「本があればいい」と思うようになっていました。

 

自分の人生で何かが切り替わるタイミングがあるとすれば、本の面白さに気づいたあの頃がそうなのではないかと思います。

 

本を面白いと感じるのは、自分が知らない世界の人たちのことが書かれてあるからです。

きっとこれから先も自分が経験することはないであろう誰かの人生が書かれてあり、その人生で主人公がどのように感じて、どのような価値観を持ちながら生きていくのか、それらを本の世界では知ることができます。

 

そして私とはまったく違う人生が書かれているにも関わらず、私がこれまで上手くかたちにすることができなかった思いが言葉という形になって書き綴られている時があります。

そのような言葉と出会う時、心が動き、傷が癒えるような感覚になるのも本の魅力のひとつだと思います。

 

一冊の本を書き上げるには、きっと多大な時間とエネルギーと才能を要することでしょう。

それらのすべてが注ぎ込まれて作り上げられた「本」という作品を手に取り、読み終える度にすごいなぁと尊敬の念を抱かずにはいられません。

 

フッカーズオニオンは、直感力を高め、創造性や表現力を豊かにしてくれるエッセンスです。

創造力、表現力、インスピレーションを高めてくれるので、作家など物を書く人の助けとなります。

また、このエッセンスは7つのチャクラ全てに作用し、全体の調和をとってくれるスピリチュアルなエッセンスです。

自分を束縛しているのは自分自身の制限のある観念であることを気付かせ、重い考えから脱し、明るく自分らしく生き生きと生きていく助けをしてくれます。

また、出産時のトラウマの解消にも役立つエッセンスです。*①


*① 2021年 ネイチャーワールド株式会社

「大自然からの贈り物 こころと体を癒す世界のフラワーエッセンス」 33ページ

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