言葉の魔法

「人の生き様は、その人の顔に出るんだよ」

冷房がよく効いた祖父母の家で、スイカをシャリシャリと食べていた時のことでした。

私が小学生の頃のことだったと思います。

テレビを観ていた時に、なにかの話の流れで祖母がそう言いました。

 

「生き様ってなに?」

「その人がどんなふうに生きてきたかってことだよ。どんな言葉を使って、どんなふうに人と接して生きてきたかっていうのは、その人の顔に刻まれていくものなんだよ」

「えー、私は全部を人には見せたくないな。もし隠したかったら隠せるの?」

弟にいじわるをしたことを祖母に知られたら嫌だなと思いながらそう尋ねました。

「それがね、どんなに上手く隠したと思っても、生き様ってのは顔ににじみ出るものなんだよ」

「えー」

「『えー』なんてことはないでしょう。毎日いい言葉を使うんだよ。周りの人たちを大切にして、自分も大切にするんだよ。そしたら『えー』なんてことにはならないから」

祖母は笑いながらそう言っていました。

そして祖母のこの話は、マンガ本やお菓子やオシャレや友達の話にすぐに埋もれてしまいました。

 

人生を変えるきっかけは、きっと些細な出来事なのだと思います。

小さな物事の持つ大きな意味を、決して過小評価してはいけませんよ。

それは肝に銘じておくべきです。 *①

もし私が祖母のこの話の本質をきちんと理解して覚えていれば、私はもっと違う人生を歩んでいたのでしょうか。

 

私は祖母が大好きでした。

祖母は私が大学2年生の時に他界しました。

祖父母の家に行けば、いつでも祖母に会えると思っていました。

だから友達と過ごす時間が大半を占めるようになっても、日本から遠く離れた土地で暮らすことを選んでも大丈夫だと思っていました。

 

どうしてちゃんと伝えてこなかったんだろう。

おばあちゃんは大切な人だということを。

どうして大切にしなかったんだろう。

いつでも会えるなんて、ただの私のわがままだった。

 

祖母と別れてから、上手く呼吸ができない日々がしばらく続きました。

 

なぜなら人生とは、私たちがしたことだけでなく”しなかったこと”からもできているから。

だから人生の一瞬一瞬がきっと分岐点なんです。 *②

 

毎日いい言葉を使うんだよ。 周りの人たちを大切にして、自分も大切にするんだよ。

そしたら『えー』なんてことにはならないから。

 

人生には、胸を打たれるほどの愛情に包まれる時があります。

けれども人の醜い部分を目の当たりにして、傷つくこともありました。

だれかを大切に想い、感謝や慈しみの気持ちを伝えるために言葉を使いました。

けれども、だれかを憎しみ、手に余る悲しみの代わりとして言葉を使ったこともありました。

 

使う言葉一語一語が、とても深い可能性を持ち合わせていることを、遠いむかし、祖母は私に教えてくれていました。

このことを、もっとしっかりと覚えていれば良かったなと思います。

 

言葉というのは、言わせてもらうならば、尽きることのない魔法の源じゃ。

人を傷つけることも癒すこともできる力がある。

アルバス・ダンブルドア (ハリーポッターより)

 

今の私の顔に、祖母はどのような人生を見るのでしょうか。

たとえ悲しみや苦さや後悔が垣間見えたとしても、幸せやあたたかさが祖母の目に映ればいいなと思います。

 

ビヨンドワーズは言葉に関わる物事を助けてくれるエッセンスです。

言語と非言語の両方で自分自身を表現する力を高めてくれます。

共通の認識という意図を持って、ある人からもう一人の人への情報とアイディアの交換と流れを助けてくれます。

特に正念場のようなとても大切なコミュニケーションをする時の助けになってくれます。

ゴールが人間関係でのハートとハートのシェアリングであろうと、心を動かすような人前でのスピーチであろうと、このエッセンスはマインドとハート両方の思考と話す能力を高めてくれます。*③

また、執筆を含むあらゆる種類のコミュニケーションのサポートもしてくれます。

人前で話しをする時やパフォーマンスをする時、講師として人前に立つ時、就職の面接の時や、グループ内での対立を解決するためにも使えます。

 


引用:

*① 2022年 株式会社ハーパーコリンズ・ジャパン マット・ヘイグ

「ミッドナイト・ライブラリー」 ページ131/429

*② 2022年 株式会社ハーパーコリンズ・ジャパン マット・ヘイグ

「ミッドナイト・ライブラリー」 ページ168/429

*③ 2021年 ネイチャーワールド株式会社

「大自然からの贈り物 こころと体を癒す世界のフラワーエッセンス」 263ページ

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