クロモジフラワーエッセンス
1972年に行われた札幌オリンピックで、フィギュアスケートで女子シングル銅メダリストとなったジャネット・リンさんの記事を読みました。
この記事でリンさんは札幌オリンピックのことを振り返り、当時のことを語っていました。
彼女は、有力な金メダル候補であったにも関わらず、決勝戦で金メダルを取ることは難しい状況に陥ってしまいました。
選手村に戻った彼女は泣いていました。
これまでずっとオリンピックで金メダルを取ることを目指して頑張ってきたのに、どうしてこんな事になってしまったのか。
敬虔なクリスチャンであった彼女は「神様、どうしてですか。教えてください」と祈ったそうです。
そして祈っているうちに、彼女の心の中で何かが変わっていきました。
「大切なのはメダルを取れるかどうかということではない。大切なのはスケートの演技を通して、神様の愛を表現することだ」
祈りを通してこのように気持ちも目指すものも変わった彼女は、この想いを胸に、アイスリンクに立ったそうです。
そして得意とされていたフリーの演技で転倒してしまいましたが、終始笑顔で滑り続けました。
このことは世界中で大絶賛され、日本でも彼女のことを「札幌の恋人」や「銀盤の妖精」と呼び、多くの人たちが魅了されました。
このオリンピックの後、リンさんは何度も日本を訪問し、数々の取材を受けました。
1996年に長野オリンピックのアンバサダーとして来日した時のことです。
日本人の若い記者からインタビューをされ、さまざまな質問の中に札幌オリンピックのことも質問されました。
けれどもその記者は、札幌オリンピックが行われた時にはまだ生まれていなかったはずです。
「あなたはいくつなの?」そう尋ねたリンさんに、その記者の人は自分の年齢を伝えました。
「札幌オリンピックの時、まだ生まれていなかったのにどうして何が起こったのか知っているの?」
リンさんが尋ねると、「だれでも知っていますよ。あなたのことは世代を超えて語り継がれているんですよ」とその記者は答えたました。
これを聞いたリンさんは涙が溢れて、インタビューを最後まで行うことができなかったそうです。
なぜなら51年前、「どうして私はこんな目に遭っているのですか。あんなに頑張ってきたのに、どうして金メダルが取れないのですか」と神様に泣きながら問いかけた時の答え。
その答えが何十年という時を経て、このような形で返ってきたということに驚き、感動したからです。
51年前、自分に起こったことの意味がやっとわかった瞬間でした。
これまでの人生でやってきたすべてを懸けて挑んだオリンピックという大舞台。
あともう少しで届きそうな「金メダル獲得」という夢を掴みそこなった彼女の失望は想像以上のものだったと思います。
それでも、世代を超えて語り継がれるほど愛される存在になること。
これが彼女の問いの答えでした。
振り返ってみると、あの時のあのことがなければ、今の私はなかっただろうと思うことが誰にでもあると思います。
そしてそれはきっと心に大きな痛みを伴う経験だったことでしょう。
どうして私なんですか?
どうして私の家族なんですか?
辛くて、苦しくて、悲しくて。
心を踏みにじられて平気な人なんていないでしょう?
直面している現実があまりにも苦しくて。
起こることすべてに意味があるというのであれば、この現実を肯定できるだけの十分な理由と意味が知りたいと思いました。
けれども、どのような出来事もそれが起こる意味は、その渦中にいる時はわからないものです。
困難は、心の中をどのような言葉で、どのような信念で、どのような願いで満たしているのか、一度立ち止まって見直す機会を与え、人を成長へと導きます。
そして自分の人生に起こった出来事の意味が分かり、求めていた答えを得られるのは、私たちの心になにか新しいものが生まれるほど成長できた時です。
振り返ってみると、辿ってきた道筋はいつも想像すらできなかったものへと繋がっています。
「もしあの時・・・」と選ばなかった方の道の結末を想像することもありますが、選んだ方の道が、結局のところ選ぶべき道だったのではないでしょうか。
なにか盤石なものを作り上げようとする時、私たちは時間が掛かることを理解し、汗も涙も苦労もいとわずに取り組まなければいけません。
過去の苦しみの意味は、その渦中にいる時にはわからないものですが、この苦しみが私たちの人生の盤石な基盤を作り上げるために必要なものだったと気づく時は必ず訪れます。
暗闇の中で希望を見つけ出すことは容易なことではありません。
だけど痛みや苦しみや悲しみの渦を通り抜けた後、もがきながら乗り越えた過去の自分を慈しむ時も来ると思う。
そして手の中に残っているものは、「人生はいつでも私たちの味方である」という事実なのではないでしょうか。
「たとえばニンジンなら、春のまだ暖かくなる少し前に種を植えます。そこから育ててニンジンとして収穫できるのはいつ頃かご存じですか?」
「さあ、五カ月くらい先?」
「わかってるじゃないですか。僕はてっきり『その日』とか言うんじゃないかと思っていましたよ」
「そこまでバカじゃないだろ」
「でも、僕たちは仕事の成果とか努力の成果ということになると、その『バカなこと』を期待していると思いませんか?
長い目で見たら、報われない努力なんてないんですよ。
あまりにも短い期間の努力で成果が出ることを期待しすぎているだけです。
今日頑張って明日実になるなんてどんなに早く育つ種でも無理なことですよ」
クロモジフラワーエッセンス(シャンドゥルール)は、この地球で生きる上での様々な試練や困難に対するネガティブな感情を落ち着かせ、魂の器である肉体を持って生きることの真意とその大切さを思い出させてくれます。
自分の存在意義に気づき、生きることへの不安や絶望感から抜け出して輝かしく生きていたい人におすすめのフラワーエッセンスです。
参考:
引用:
2019年 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 喜多川泰
『運転者 未来を変える過去からの使者』 ページ77/202~78/202