心に残る物語
「でも、急いでざっと読んでしまったところもあるから、買います。この本は欲しいと思って」
私の言葉に、小町さんはちょっとのけぞるようなポーズを取った。
「嬉しいね。読むだけじゃなくて、手元に置いておきたいと思えるような本との架橋になれたなら」
「ええ、私も変容しようって思えました。この本のおかげで」
小町さんは、に、と笑った。
「どんな本もそうだけど、書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ」 *1
「この本、すごく面白いよ」
娘が小学校の高学年の頃のことでした。
学校の図書室で見つけて、なんとなく借りて読んでみたらあまりにも面白くて夢中になって読んでいると教えてくれたのは、上橋菜穂子さんの著書の『獣の奏者』でした。
よほど気に入ったのでしょう、借りて読むだけでなく手元に置いておきたいとお小遣いを貯めて全巻を買い集めていました。
そんなに面白いのかとある日娘から借りて読んでみると、その物語の世界にすぐに引き込まれていき、なんでこれまで読まなかったのだろうと悔やまれるほどでした。
そしてどうやったらこんな物語を創り出せるのだろうと、その類い稀な才能に敬服の念を抱かずにはいられませんでした。
この作品はこれから先、娘が何歳になっても彼女の心に強くその存在を残し続けるものなのだろうと、そう思いました。
私と娘は読書が好きでお互いに読んで面白かった本を教え合ったり、感想を言い合ったりするのですが、彼女が小学生の頃に言った言葉が今でも印象に残っています。
「冒険に危険はつきものでしょ。それに、悪いやつはとことん悪くないと物語って面白くないじゃない。イヤな事とか理不尽な事とかが起こるからこそ主人公は強くなって、賢くなっていくんじゃない。」
現在、息子は小学校の高学年になり、娘が『獣の奏者』と出会った頃と同じ年齢になりました。
彼は時々本を読むことはあっても、すごく好きというわけではなさそうで、読書よりもゲームをしたりYoutubeを観るほうが楽しそうで、そのことを私は少し残念に感じていました。
本の世界では、きっと自分の人生では経験しないような生き方や考え方に触れることができるし、一生心に残るような言葉にも出会えるのに。
そう伝えても、それほど好きでないものを無理やり夢中にさせることはできません。
ところが最近、彼から意外な言葉が発せられました。
「この本、すごく面白いよ」
学校の図書室でなんとなく手に取り借りた『ガフールの勇者たち』という本が驚くほど面白いと話していました。
この物語は全部で15巻あるそうで、彼はゲームやYoutubeもそっちのけでこの物語を読みふけるようになりました。
図書室では一回につき三冊まで借りれるらしく、息子がせっせせっせと借りてくる本を私も一緒に夢中になって読むようになりました。
現在は14巻まで読み終わり、残りあと1巻となってしまいました。
「あと一冊でこの物語が終わるなんて。全巻を読み終わって物語が終わってしまうのは寂しいから、15巻を読む前にもう一度1巻から読み直そうかな。」
そう語る息子の話を聞きながら、彼がいつまでも心に残る物語と出会えたことを嬉しく感じていました。
変えたいのに変わらない物事にモヤモヤしたり、障害となって行く手を阻んでいるなにかに躍起になって立ち向かっているとき、いつも思い出されるのはフラワーエッセンスの授業で聞いたYokoko先生の言葉です。
「いつまでも現実が変わらないのは、まだ自分が変わっていないからです」
自分が持っている感情や信念、思い込みによって作り出される周波数。
これが自分の現実を創り出しています。
自分が発する周波数が変われば、それに共鳴する物事も変わらざるを得なくなります。
自分の心に深く響くなにかを語る本との出会いは簡単には訪れるものではありません。
何年経っても心に残り続ける物語は、出会った人にとって、とても価値があり特別なものであり続けます。
けれどもそれと同時に、私たちはだれもが『人生』という物語を毎日1ページずつ紡ぎあげている作り手であるということも忘れてはいけません。
私はフラワーエッセンスと出会うまでは、自分がこの物語の作り手であるという自覚がないまま、とことん悪いやつを登場させてみたり、理不尽な出来事を書き加えて泣いたり、悲しんだり、怒ったりしていました。
「自分の現実は自らの手で創り出している」
このことが分かったいまは、穏やかで幸せであたたかな日々を毎日書き綴っていきたいと思います。
そしていつの日か『私の物語』が全巻終わる頃、この物語が終わるなんて寂しすぎると大切な人たちに思ってもらえるような作品になっていればいいなと思います。
ゴークリエイト(アラスカンエッセンス)は豊かさのフォーミュラです。
より少ない抵抗力とより多くの安心、効率と効果を持ってあなたが人生で何が欲しいか、必要か、願うかを合わせて作り上げる助けをするように作られました。
豊かな人生を創造する能力を引き出すことをサポートしてくれるエッセンスです。*2
引用:
*1 2020年 株式会社ポプラ社 青山美智子
「お探し物は図書室まで」
位置No.1786/3287
*2 2021年 ネイチャーワールド株式会社
「大自然からの贈り物 こころと体を癒す世界のフラワーエッセンス」 265ページ