感謝の気持ち
たとえばパソコンを使い始めるとき。
両手で軽く触れながら、「いつもありがとうね。今日もよろしくね」と心の中で声をかけます。
人や動物などの生き物だけでなく、物にも気持ちが伝わると聞いたことがあるからです。
以前、パソコンを使わずに文章を書こうと試みたことがあるのですが、パソコンの便利さや快適さに完全に慣れてしまっている私は、「パソコンを使わずに書く」ということが想像以上に困難であることがわかりました。
だからこそ改めて湧いてくるのは、パソコンに対する感謝の気持ちです。
私はこれまでに沢山の失敗をしてきました。
その失敗という経験から学んだことは確かにありますが、なにかを失ってから、その失ったものや、失った人の大切さに気づくという失敗だけはもう二度としたくない。
そう思っています。
もし特定の物事に対して、どうしても感謝の気持ちが持てない時は、その物事を失ったことを想像してみるといいそうです。
感謝など感じられないと思う、その「もの」や「人」が自分の人生からいなくなってしまった「想像の世界」に立った時に、もし自分の心が痛むようであれば、実際に失ってから取り返しのつかない後悔する前に、心の向けかたを変えるほうがどれだけ良いことかわかりません。
生きていると「良いとき」もあれば「悪いとき」もあるものです。
もし人生という流れのなかで、今自分がいる場所が、「ここから良くなることなど不可能に近い」と感じられるほど最悪なのであれば、そこから抜け出すためにまずするべきことは毎日『感謝のリスト』を書くことだそうです。
『5秒ルール 直観的に行動するためのシンプルな法則』の著者であるメル・ロビンズさんがポッドキャストで『感謝のリスト』を書くにあたって注意するべき事として語っていたことがとても印象的でした。
『感謝のリストを書くワーク』を行うにあたって、おかしてしまいがちな間違いのひとつとして挙げられるのは、『感謝のワーク』ではなく、ただ「ありがたく思っていること」を書いているだけという事です。
・住まいに感謝します
・子供たちに感謝します
・仕事に感謝します
このようにただ書いていても、本当の意味で『感謝のワーク』をしているとはいえません。
「本当に感謝する」ためには、もっと具体的に書くべきです。
もっと気持ちが込められたものであるべきですし、感謝の思いがきちんと表現されていて、書き終わった後でも感謝の余韻が残るようなものであるべきです。
もしあなたが他の人たちと同じように、ただ『感謝のリスト』を書いているだけなら、そのやり方は止めた方がいいでしょう。
感謝していることについてできるだけ具体的に書き、それによって湧き上がる感情を感じる。
『感謝のリストを書くワーク』はこのようにして行われるべきです。
ただ『感謝のリスト』にチェックマークを入れているようなやり方では、何の効果も得られないのです。*1
こんな生き方はもうやめて、私は自分の人生を変えたい。
そう強く願い、答えを求めてさまざまな本を読みました。
そしてどの本にも共通して書かれてあった答えは「感謝の念を抱く」ことでした。
ではどうして感謝の気持ちを持つことがこれほどまでに重要なのでしょうか。
感謝の効果を科学的に解明する研究を行っている心理学者のロバート・エモンズ博士は、「感謝をする人ほど、免疫力や痛みへの耐性が強く、血圧が低い。ポジティブで生きがいや喜びを感じやすく、幸福感も高い。親切で寛大、社交的で孤独になりにくい」と語ります。*2
また、「感謝」は嫉妬や恨みや後悔など、幸せの妨げとなるようなネガティブな感情が起こることを阻止してくれます。
なぜなら人はネガティブな感情と感謝の気持ちを同時に感じることはできないからです。
実際に、2008年に心理学者のアレックス・ウッド博士が発表した研究で、感謝の気持ちを持つことがうつ病の発症頻度や期間を軽減させることがわかりました。*3
また脳科学では、感謝の気持ちを持つことで、4つの幸せホルモンであるセロトニン、ドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンが分泌されることが明らかになっているそうです。
以前、書道家である武田双雲さんの「感謝はひとつの技術である」という言葉を聞いて、そのような考え方があるのかと感銘を受けたことがありました。
もしあなたが「思うような結果が出せない」「なにもかもうまくいかない」と思うことが多いなら、まわりに対して感謝の気持ちを忘れている可能性が高いです。
一度まわりに対する意識を「ありがたい」という視点で見渡してみてください。
すると、いかにまわりの人に支えられて、生かされていることに気づくはずです。
あなたがうまくいかないのは、あなたの実力がないわけでも、努力が足りないわけでもありません。
ただ、感謝することを忘れているだけなのです。
それに気づけば、あなたを取り巻く環境が変わること、それを実感するできごとが起こりはじめるでしょう。*4
ただ「ありがとう」というお礼の気持ちを超えて、じんわりと胸からこみ上げてくる「感謝」のエネルギーに心を震わせることができたとき、私たちは変化の兆しを垣間見ることができます。
目の前に並ぶ、「今はまだ」閉ざされている扉たち。
この扉を開く力は「感謝の気持ち」にこそあるのかもしれません。
波動を高めるための一番の近道は、喜びをもたらしてくれる「何か」に意識を集中し、感謝することです。
感謝のエネルギーは、私たちの波動を高めます。
人生最悪と思えるような気分の時は、このエッセンスと時間を過ごしてみてください。
すぐに、軽やかさが内側にもたらされることでしょう。
この軽やかさが同じ種類のものを引き寄せ、あなたの波動は高められるのです。*5
参考:
*1 The Science of Gratitude & 6 Surprising Ways You’re Getting It Wrong | Mel Robbins – YouTube
*3 Why Gratitude Is Good | Greater Good (berkeley.edu)
引用:
*2 「ありがとう」で健康になる科学的根拠!米スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が初公開 | スタンフォード式生き抜く力 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
*4 2022年 株式会社すばる舎 武田双雲
『「ありがとう」の教科書』ページ46/145
*5 2021年 ネイチャーワールド株式会社
『大自然からの贈り物 目的別フラワーエッセンスハンドブック』57ページ