しょっぱい現実
本当の願いとはなんだろうか。
人はこの世に生まれてきて、経験もないままに初めてのことを体験する。
社会の中で何者かになろうとし、いつしか自分自身とはぐれていく。
人は生まれて、ただずっと変化し続けていく。
その過程にはうまくいかないことや、うまく進まないことが多い。
間違いばかりおかしながら、それでも自分自身と「一致」しようと、適合を求めていく。*1
目の前で泣いている娘のすがたを見つめながら、なんてこったと思った。
あまりにも軽率な感想だと自分でも思う。
きっとこの現実を、現実として受け止めたくなかったのだと思う。
心が止まり、世界も動きを止めて、音までもなくした気がした。
彼女が小さい頃に流していた涙が思い出される。
たとえばお腹が空いたとか、抱っこして欲しいとか、あれが欲しいとか、もっと遊びたかったとか。
まっすぐな欲求をただただ訴えるためだけに流された涙は、金平糖のようなパステルピンクとかパステルブルーの色がついているように感じられた。
あまくてかわいらしい色。
だけど今彼女が流している涙はそんな単純なものではない。
深い疲れの色をしたそれは、ただただ塩からい。
安達茉莉子さんの本に書かれてあった『しょっぱい現実』という言葉を思い出す。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。
私のほうがどうにかなりそうになる。
この痛手は大きい。
親は、子どものことを何も決められないんだ。
ただ見守ることしか。
私が、私たちが、決めることを許されたものがあるとしたらたったひとつ、名前ぐらいだ。*2
きっと私にできる一番のことは、この子にはここから立ち上がる力があることを心の底から信じること。
この子の奥底にはキラキラとした明るいものが失われず、まだちゃんとあるのに、どうしたらそのことに気づかせてあげられるのだろう。
「神さま、どうかおねがいします」
子どもの頃からもう何度唱えたことかわからない祈りの言葉。
正直なところ、本当に神さまがいてもいなくても、どちらでも構わない。
まだすべての希望が失われたわけではないと、そう思えるような、自分よりもはるかに大きな存在に縋りたくなるような時は、きっとだれにでもあると思う。
「傷」を「癒す」ことを許す。
次に進むことを許す。*3
神さまどうかお願いします。
あの子がいつか傷が癒えることを自分に許せる日が来ますように。
前に進むことを選べる日が来ますように。
あなたの信頼は、その子の追い風に。
あなたの心配は、その子の向かい風になります。
どっちでも子は育ちますが、せっかくの大切な子どもなので、たくさん追い風を向けてあげましょう。
吉川めい
「人生ってのはね、最後はぜんぶちゃんと上手くいくようになってるんだよ。
嫌なことも苦しいこともあるけど、それは途中で起こっていること。
最終的には上手くいくようになってるんだから、今はただ、その過程を生きているんだってことを知っておきなさい」
高校の時、毎日通う学校が苦痛で仕方がないと訴えたとき、祖母に教えてもらったことを思い出す。
本を読むのは、「イマジネーションで遊ぶのではなく、知りたいことを解き明かすため」。
生きづらい世での、処方箋のように。
日々をよりよく生きるために、暮らしの傍らには本が必要だという。*4
私は娘の向かい風にはなりたくない。
それなのに目の前にあるのはこのままならない現実。
私には悲しみを溶かす手立てとなるものが必要だと思う。
安達茉莉子さんの著書『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』を手にする。
付箋とかハイライトを引いている箇所を頼りに目的のページに辿り着く。
自分自身が壊れているように感じる時。
痛くて、誰かに優しい言葉を掛けてもらっても、何をしても、どんどんそれが漏れていってしまうように感じる。
大抵そういう時は、基盤である自分そのものに自信喪失していたり、あるいは傷を受けていることが多い。
原因は無数にあって、理由がなんであれ、傷ついている時は傷ついている。
自分自身という「器」にヒビが入っていて、どれだけやっても、満たされない。
そんな思いを抱いた時、自分自身がそのままバスタブになったと考えて、そのバスタブを「光」で修復するようなイメージワークをしていた。
具体的には、まず、自分をバスタブのような「器」のように捉える。
痛いね、ヒビが入っているね、と自分自身を全部スキャンするように、感じていく。
その次は、光のパテみたいなものをイメージする。
優しく甘く、柔らかく、細やかに輝くパテ。
そのパテは、傷に触れても痛くない。
それらが傷やヒビを塞いでいくようにイメージしながら、傷ついた部分に向かって声を掛ける。
掛ける言葉が見つからない時は、ただひたすら光のパテを当てる。*5
自分でフラワーエッセンスを選ぶ気力さえ湧かないので、レスキューレメディを飲む。
ズキズキと痛むこめかみや、息が詰まったように感じる喉にはレスキュークリームを塗る。
そして『光のパテ』のイメージワークをする。
きっと明日も私は、相も変わらず『しょっぱい現実』を抱えながら一日を過ごすだろう。
この傷は深く、修復には時間を要するだろう。
だけどそれでも私はこの『ヒビ』に、せっせせっせと光のパテを当て続けるだろう。
私は娘の追い風になりたいから。
彼女に前向きな変化を求める前に、まずは自分が変わることが先決だろう。
「何かの答えを見出すのは素晴らしいいことです。
でも、そこにたどりつくまで迷いながら歩く日々のほうこそを人生と呼ぶんじゃないかと、わたしは思うんですけどね」*6
過去とのつながりを再構築したり、清算したりする時にぴったりです。
現状の混乱した状態から復活して、過去のトラウマや傷を癒し、新たな人生のスタートを切ることができるようになるでしょう。*7
家族や自分が大切にしている人の健康や安全を過度に心配してしまう時におすすめのエッセンスです。相手への心配を信頼へと変えられるようにサポートしてくれます。
傷を負ったときの精神的なショックの緩和に使われるエッセンス。急な事故やケガのときには、応急処置として数滴口に含ませると良いでしょう。心の傷にも同様の働きを見せ、傷の原因となった障害物を取り除いて無傷だと感じられるように、また過去のショックの後遺症を癒すようにサポートします。*8
引用:
*1 2022年 株式会社玄光社 安達茉莉子 『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』 86~87ページ
*2 2021年 株式会社宝島社 青山美智子 『鎌倉うずまき案内所』ページ98/350
*3 2022年 株式会社玄光社 安達茉莉子 『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』 96~97ページ
*4 2024年 マガジンハウス 『&Premium特別編集 暮らしと生き方の、読書案内。』 8ページ
*5 2022年 株式会社玄光社 安達茉莉子 『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』110~111ページ
*6 2020年 株式会社宝島 青山美智子 『猫のお告げは樹の下で』位置No.1123/3703
*7 2022年 株式会社彩流社 YOKOKO 『「花の波動」で幸せな人生を手に入れる』179ページ
*8 2010年 株式会社河出書房新社 中村裕恵 『医師が教えるフラワーエッセンスバイブル』87ページ