奇跡が起こる準備
もうすぐ12月に入ります。
子供たちが小さくて、まだ私が専業主婦だった頃は、このくらいの時期になるとクリスマスに向けてさまざまな準備を始めていました。
ギリギリに注文して配送が間に合わなくなったということにならないように、急いで全員分のクリスマスプレゼントをインターネットで注文したり、クリスマスツリーを出してオーナメントを飾ったり、プレゼントと一緒にお友達に渡す焼き菓子を作る練習をしたり、子供たちがサンタさんに手紙を出すのを手伝ったり、12月はいつもワクワクすることでいっぱいでした。
そのなかでもアドベントカレンダーを作って準備する作業が一番楽しかったのを覚えています。
12月1日から25日まで、日付の数字が書かれてある所に小さなプレゼントを入れて、子供たちが毎朝一つずつプレゼントを開けていきます。
このプレゼントの中身はチョコやキャンディーや小さなおもちゃなど、本当にささやかな物でしたが、クリスマスまでのカウントダウンはなくてはならないものでした。
今でもクリスマスは一年の中で一番好きな行事です。
私の離婚が成立した年、シングルマザーとして初めてクリスマスを迎えることになりました。
離婚自体は成立しても、まだまだ争わなければいけないことがあって、家庭裁判所での話し合いが続いていました。
弁護士費用だけでなく、その他にもさまざまな出費に出費が重なって、貯金もどんどん減っていっていました。
それでも子供たちには「普通の生活」をさせてあげられるように。
この「普通の生活」のラインを守ることに必死でした。
この時、クリスマスがやってくる12月をはじめて憂鬱に感じていました。
どんなに世の中がキラキラと輝いていて、鈴の音を鳴らしながら楽しげな音楽で溢れかえっていても、その正反対の場所にいた私にとってクリスマスは手が届きそうにないほど遠い場所にありました。
クリスマスツリーは無理だろう。
焼き菓子なんて優雅に作っている場合じゃない。
アドベントカレンダーだって・・・。
離婚をしたことを後悔はしていないけど、元夫のような経済力を持っていない自分を不甲斐なく感じて、心の中で毎日自分を責め立てていました。
「経済力がない私は罪でしかない」 そう思っていました。
「ごめんね。今年のクリスマスはいつもより小さなものになりそうなの」
子供たちにそう打ち明けることに決めました。
子供たちはきょとんと私のことを見ていました。
まだ3歳だった息子が「くりすますつりー ださないの?」と聞いてきました。
「クリスマスツリーはもうないの。来年は新しいのを買おうね」
「つりー なかったら、さんたさん こない?」
「ツリーがなくてもサンタさんは来るよ」
私たちのその会話を聞いていた娘は当時小学生で、さまざまなことを彼女なりに理解していたようで「いいよ!全然いいよ」と明る過ぎる声で言いました。
私はなんでこんなに出来損ないなんだろう。
クリスマスが近くなった頃、両親が子供たちに会いに遊びに来てくれました。
「おい!しけたツラして。お前、どん底だな」 父が私に言いました。
わかってる。
そう思いました。
わかってる。
離婚するような結婚を選んだのは私のせい。
経済力もないのに離婚したのも私のせい。
子供たちを片親にしてしまったのも私のせい。
こんな人生のはずじゃなかったのに、こんな人生になったのも私のせい。
本当はクリスマスがいつもより小さくなったことが問題なんかじゃない。
きっとこうやって子供たちに何かを諦めさせたり、我慢させたりしなくちゃいけないことが続きそうで、この先さらに悪いことがどんどん続いていきそうで、私は未来がとっても怖い。
「お前、これで奇跡が起こる準備ができたな」
予想していなかった父の言葉に、私は眉間にしわを寄せながら「なに?」と言いました。
「テレビでも映画でも本でも、何でもそうだろ。あぁ、こいつはもう無理だな、もう立ち上がれないだろうって思ってるところに急にどっかから救いの手が現れるだろ。そんな奇跡みたいなもんは順風満帆なところには起こらない。だから今どん底のお前は、これから奇跡が起こる準備ができたようなもんだろ。良かったな!」
そう言って父はいつもの大きすぎる声で笑いました。
いいからほっといて欲しい。
そう思いながらも、『奇跡が起こる準備ができた』 この言葉は私の真っ暗な心に小さな小さなあかりを灯しました。
不安や恐怖や悲しみに飲み込まれそうな時、「これで奇跡が起こる準備ができたじゃない」
そう心の中でつぶやきました。
するといつの頃からか自分でも本当にそう信じるようになってきて、自分ひとりでは支えきれないほど重く苦しかった心が少しづつ軽くなっていきました。
そして私の心の変化に伴い、私を取り巻く状況も少しづつ良い方へと変わっていきました。
『奇跡が起こる準備ができた』
私にもたらされた救いの手は、きっとこの言葉でした。
もしあなたがいま、明日を明るい気持ちで見れないほど苦しくて。
もうこれ以上悪くはなりようがないと思えるほどの毎日を過ごしているとしたら。
私はあなたにこの言葉を贈ります。
良かったです。これで奇跡が起こる準備ができました。
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極度のストレス下にある場合、ボトルから直接4滴摂るか、水やハーブティーに入れて、頻繁に(1時間に1回かそれ以上)飲んでください。*1
引用:
*1 2021年 ネイチャーワールド株式会社
「大自然からの贈り物 こころと体を癒す世界のフラワーエッセンス」 267ページ